皇帝陛下の花嫁公募
「では、仲間を解放してもらおうか」

 アンドレアスは衛兵達に指示を出す。

「言われたとおりにしろ」

 衛兵達は後ろのほうから捕らえられた掃除婦の格好をした女性を突き出し、解放した。

 やっぱりスパイの一人は掃除婦のふりをしていたのね!

 そして、リゼットを捉えている男は下働きの格好をしていたが、恐らくテオのように状況に応じて姿を変えていたのではないだろうか。

 女性は男の傍に近づいた。二人は前方のアンドレアスを威嚇しながら、じりじりと歩いていく。もちろんリゼットは男に半ば引きずられていた。

「頼む。無事に逃がしてやるから、彼女だけは助けてくれ」

「馬二頭、用意させろ。だが、この女も連れていく」

「それは許さない!」

「許すかどうかなんて関係ない。言うことを聞かないと、この女の頭を吹き飛ばす」

 銃身をこめかみにぐりぐりと押しつけてくるので、痛くてたまらない。

 このままこの男達に連れていかれるわけにはいかない。かといって、ここで死にたくてはない。痛くて上手くものが感がられなかった。

「では、交換条件だ。彼女の代わりに私を連れていけ」

 後ろに控えている衛兵達がどよめきを発した。

「……何を言ってるの? アンドレアス!」
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