皇帝陛下の花嫁公募
スパイは捕らえられて、投獄された。
アンドレアスは事後処理に追われていたが、その間、リゼットは自分の部屋でゆっくり湯浴みをして、一番気に入っているドレスを着た。
祖父の屋敷には連絡が行き、リゼットの側近は荷物を持って宮殿に引き返してきた。今、ナディアは自分の部屋で休んでいて、テオは医者に治療してもらっている。本人が言うには、銃弾がかすっただけで、出血量ほどはひどくないのだというが、治療は絶対必要だ。
しばらくして、ナディアが部屋にやってきた。
「もっと休んでいてもいいのに」
「わたし、まだ興奮していて、全然休めないんです!」
「実はわたしもなの。それに、例のスパイがどうして見つかったのか、聞いてないし」
「そのことですね。テオが気がついたんです。つまり……」
そのとき扉が叩かれた。
「はい、どなたかしら」
「俺だよ」
テオが入ってきたので、リゼットとナディアは彼を迎えた。
「怪我は大丈夫?」
「少し痛むが、いい薬を塗ってもらったから平気だ。俺より、リゼット様のほうが心配で……。なんともなかったのか?」
「ああ、殴ったとき痛かったけど、今はなんともないわ」
「いや、拳の話じゃなくて……。乱暴に振り回されていたからさ」
「ああ……。全然平気! それより、スパイが見つかったときの話をしてもらっているところだったのよ」
「あれか。あれはまあ偶然というか……」
テーブルを囲んで座り、テオは話し始めた。