皇帝陛下の花嫁公募

「……テオは情報収集が上手すぎる。君への忠誠心は立派だが、護衛にしておくにはもったいない」

「わたしもそう思っているんだけど。もう天才的よね!」

「だが、君の言うことを聞きすぎだ。護衛なら君を危険に晒すことがあってはならないんだ」

「結局、テオはやりかけたことをやってしまいたかったんだと思うわ。途中まで謎を解いたのに、遠ざけられてしまったから。わたしやナディアもそうだわ」

「君達はまったく……。やっぱりテオには彼の能力にふさわしい仕事をしてもらおう。そのほうが私の気が休まる」

「まあ、いいけど」

 リゼットは肩をすくめた。

 うるさい護衛がつくことになるのだろうか。それでも、リゼットはアンドレアスの身に危険が迫ったなら、やはり同じことをするだろう。

「それで、わたし、公爵夫人とスパイの関係を知りたいんだけど。どうしても判らなかったの。彼らは結託していたの?」

 アンドレアスは溜息をついた。

「知らないと落ち着かないんだろうな」

「もちろんよ」

 アンドレアスはリゼットの手を取り、立ち上がらせると、二人で並んで長椅子に腰かけた。

 うん。こっちのほうがいいわ。

 リゼットは彼の隣で甘えるようにもたれかかった。彼の温もりがとても気持ちがいい。

「結論から言うと、奴らは結託していた。公爵夫人とゲオルグは島流しにされることになった」

「まあ……」
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