皇帝陛下の花嫁公募
 あの書状には、身分だって関係ないと書いてあった。条件は健康で未婚であることのみ。

 上品であらねばならないとか、訛りのある言葉を口にしてはいけないとか、流行のドレスを着ていなくてはならないとかいう条件は決してなかった。

 もっとも、上品なのも美しい言葉を話すのも、流行のドレスを着ているのも、皇妃を目指するなら常識のうちかもしれないが。

 しばらく経ってから、女官に声をかけられ、リゼットは案内された部屋に入った。

 大きな威圧感のある机があり、その向こうに数人の厳めしい男性が並んで座っている。リゼットと母妃は机のこちら側に並んだ椅子に座ることになったのだが、すでに彼らに審査されているような気がして、嫌な気分になってきた。

 だって、わたしは一国の王女で、母は王妃なのよ。

 とはいえ、相手はそれを知らないのだ。もっとも、知ったところで、辺境国の王妃と王女では、恐れ入ることはないのかもしれない。それに、きっと誰に対しても同じ態度なのだろう。

 彼らは皇帝陛下の代理という気分でいるはずだから。
< 39 / 266 >

この作品をシェア

pagetop