皇帝陛下の花嫁公募
 アロイスはにっこりと笑う。

「部屋の窓を開けておいてくれ。ほーほーとフクロウの真似をするから顔を出してほしい」

 リゼットの部屋にはバルコニーがついている。そこから彼の顔を見るくらいなら、大丈夫だ。

 なんの危険もないわ……。

 リゼットは頷いた。すると、彼の顔が明るくなる。

「よかった!」

 彼はリゼットの手を取り、両手で包み込んだ。

 その温かさと力強さに思わずドキッとする。彼は意外なほど真剣な眼差しでリゼットの目を見つめてきた。

「約束だ、リゼット」

「ええ。約束よ……」

 リゼットは頬を赤らめながら頷いた。

 彼から目が離せない。けれども、いつまでもこうしているわけにはいかなかった。

「わたし、護衛を探さないと」

「ああ、そうだな」
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