皇帝陛下の花嫁公募
身を乗り出して見ていると、彼はバルコニーを支える柱を器用に登り始めた。蔦が絡まっているから登りやすいのかもしれないが、驚くほどスルスル登ってきて、バルコニーに手をかけた。
そのまま手すりをよじ登って、彼はリゼットの前に立った。
「すごいわ……! こんなところを登ってくるなんて!」
「大したことはないさ。それより、声が聞こえるかもしれない」
彼は囁き声でリゼットを促し、部屋の中へと入った。窓を閉められて、ドキッとする。
男の人と二人きり……。
別に身の危険を感じているわけではない。彼のことは名前しか知らないのだから、本当なら危険を感じてもおかしくないのだろうが、何故だかそうではなかった。
どうしてかしら……。
彼の身のこなしは鍛えられたもので、自堕落に遊んでいる人間のものでないからかもしれない。どこか護衛と似ているところがある。だから、一緒にいても安心できるのかもしれなかった。
でも、何よりリゼット自身が彼と一緒にいたいからという理由が一番だろうか。
ドキドキするけれど、不快なドキドキではなかった。
部屋は蝋燭の灯りがついているものの、窓から差し込む月の光のほうが明るく見えた。
彼はじっとリゼットを見つめてくる。
「本当に綺麗だ……」
感嘆したように言われて、リゼットは照れてしまう。
そのまま手すりをよじ登って、彼はリゼットの前に立った。
「すごいわ……! こんなところを登ってくるなんて!」
「大したことはないさ。それより、声が聞こえるかもしれない」
彼は囁き声でリゼットを促し、部屋の中へと入った。窓を閉められて、ドキッとする。
男の人と二人きり……。
別に身の危険を感じているわけではない。彼のことは名前しか知らないのだから、本当なら危険を感じてもおかしくないのだろうが、何故だかそうではなかった。
どうしてかしら……。
彼の身のこなしは鍛えられたもので、自堕落に遊んでいる人間のものでないからかもしれない。どこか護衛と似ているところがある。だから、一緒にいても安心できるのかもしれなかった。
でも、何よりリゼット自身が彼と一緒にいたいからという理由が一番だろうか。
ドキドキするけれど、不快なドキドキではなかった。
部屋は蝋燭の灯りがついているものの、窓から差し込む月の光のほうが明るく見えた。
彼はじっとリゼットを見つめてくる。
「本当に綺麗だ……」
感嘆したように言われて、リゼットは照れてしまう。