皇帝陛下の花嫁公募
リゼットが長椅子に座ると、彼はその隣に腰かけてきた。昼間、木箱で隣り合って座ったが、あのときより距離が近い。それに、騒々しい市場の中で一緒にいるのと、こんな夜遅くに、しかも部屋で二人だけでいるのとでは違う。
これほど男性を強く意識したのは初めてで、リゼットはそんな自分の反応に戸惑っていた。
今まで男の子の格好をしたり、王女の身で農作業の手伝いをしたり、おてんばなことをたくさんしてきたけれど、今はただの一人の乙女になった気がした。
「こんな時間だから、おもてなしもできなくてごめんなさい」
普通、誰かの訪問を受けるときは、飲み物なり食べ物なり出すものだ。だから、そう言ったのだが、彼にクスッと笑われてしまった。
「おもてなしか。そんなものはいらない。俺は君に会いたくて来ただけだ」
「そ、そう……。わたし、こういうことは初めてなの。男の方がわたしを訪ねてくることなんてないし、しかもこういう形で会うなんて」
これほど男性を強く意識したのは初めてで、リゼットはそんな自分の反応に戸惑っていた。
今まで男の子の格好をしたり、王女の身で農作業の手伝いをしたり、おてんばなことをたくさんしてきたけれど、今はただの一人の乙女になった気がした。
「こんな時間だから、おもてなしもできなくてごめんなさい」
普通、誰かの訪問を受けるときは、飲み物なり食べ物なり出すものだ。だから、そう言ったのだが、彼にクスッと笑われてしまった。
「おもてなしか。そんなものはいらない。俺は君に会いたくて来ただけだ」
「そ、そう……。わたし、こういうことは初めてなの。男の方がわたしを訪ねてくることなんてないし、しかもこういう形で会うなんて」