皇帝陛下の花嫁公募
「君はよほど育ちがいいらしい。それに、とてもうぶなんだな」

「そんなに世間知らずってわけでもないと思うんだけど……」

「俺からすると、充分世間知らずに見える。俺と二人きりでいて怖くないのか?」

 リゼットはちらりと彼のほうを見た。

「怖くないわ……。怖がるべきなのかもしれないけど、何故だか怖くないの。ただ、なんだかいつものわたしじゃないみたいで……変なの」

 彼は温かい笑みを見せた。

「変なの、か。可愛らしいな。どこが変なんだ?」

「ここが……」

 リゼットは胸に手を当てて、ドキッとする。彼が自分の胸元に視線を集中させたからだ。慌てて手を胸から外す。
「ドキドキしたり、いつもと違う。それだけ」

「俺も同じだ」

「えっ、あなたも?」

 思わず彼の顔を見つめる。彼はにっこりと笑った。
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