皇帝陛下の花嫁公募
 だいたい、どんなふうに審査しているのだろう。機嫌のいい子と遊ぶより、不機嫌な子の相手をするほうが大変に決まっているのだが。

 這い這いしていた子は、一人でグズグズ泣いていたが、やはり誰も見向きもしない。子供を連れてきた女性達は孤児院で世話をしていた人達ではないだろうか。リゼットは辺りを見回してみたが、この大広間にはいないようだ。

 審査のために、どこかに追いやられたのだろうか。子供はあの人達を探して泣いているというのに。

 なんだか……なんだか……すごく腹が立ってくる。

 花嫁試験のために、何も子供を巻き添えにしなくてもいいじゃないの!

 やっとリゼットの番がやってきた。

 リゼットは一番に、這い這いしていた子に駆け寄り、抱き上げた。そして、大広間の隅で机について、審査をしているらしき女官達のところへと向かった。

「この子のおむつが濡れているわ。びしょびしょじゃないの。替えてあげなくては。孤児院の人はどこ?」

 女官達は最初ぽかんとしていたが、慌てて立ち上がる。

「もうすぐ試験は終わりますので、そのままにしておいていただけると……」

「濡れたままじゃ可哀想だと思わないの? ひどいわ! この試験を考えたのは誰なの?」

「皇帝陛下の意向を受けて、わたし達が……」

「申し訳ないけど、あんまりいい方法とは思えないわ。とにかく、この子はおむつを替えてあげない限り泣き続けなくてはいけないのよ。いいから、この子の世話をしている人達がいる部屋を教えて」
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