皇帝陛下の花嫁公募
 たぶんそれが一番得意なことだ。もちろん、皇帝の花嫁になるのに、なんの意味もないことだが。

「手は華奢で綺麗なのに……」

「厚手の手袋をしていたのよ。あと、細く見えていても、わたし、けっこう力持ちだから。でも、こんなこと自慢にはならないわね」

「いや……女だって身体が丈夫なのに越したことはない。母親が子供を産んですぐに亡くなるのはよくない」

「そうね……」

 リゼットは彼の顔を見ながら、小さく頷いた。

 皇帝が花嫁の条件として『健康で丈夫なこと』を条件に挙げたのは、同じような理由だったのかもしれないと思った。自分の子供を母親に育てさせたいと思っていることや孤児院に力を入れていることなどから考えると、きっとそうなのだろう。

「勉強はどうだ? 得意だったのか?」

「ええ。歴史なんか、ハンスよりずっと得意だった。……あ、ハンスはすぐ下の弟なの。うちの跡継ぎなのよ」
「刺繍とか編み物とか……」

「一応はできるわ。ただ、みんなそういったことは上手だと思うのよ。でも、どんな結果が出るにせよ、最終的にはきっと皇帝の好みで決まるのよ。そこが不満というわけじゃないんだけど」
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