皇帝陛下の花嫁公募
 不満を言っても始まらない。花嫁募集なんてとんでもないことをした皇帝だけど、試験で勝ち抜いたというだけで、好みでもない相手と結婚するわけがなかった。

「確かにそうだろうが、君は試験で勝ち抜けると思うよ」

「アロイスがそう信じてくれるだけで嬉しいわ!」

 二人は恋人同士というわけではないが、彼が夜遅くに寝室を訪ねているという事実を考えると、皇帝の花嫁になる試験を応援してくれるのは少し奇妙に感じる。失敗を慰めてくれるのも同じだ。けれども、彼が応援してくれることは、やはり嬉しいのだ。

 わたし達、なんて変な関係なのかしら。

 リゼットはそもそも彼にここに来てはいけないと言うべきだったのだ。深入りしてはいけないと判っているのに、また二人きりで話すことで、徐々に深入りしている。

 でも、彼はわたしが皇妃を目指していることを知っているのよ。応援までしてくれているのよ。

 もちろんリゼットにも王女としての自覚はある。だとしたら、二人が束の間、恋人同士のように親しく言葉を交わしたとしても、大した問題ではないのかもしれない。

 いや、自分はそう思いたがっているだけなのだろうか。
< 98 / 266 >

この作品をシェア

pagetop