MちゃんとS上司の恋模様
「よし、お前は今から昼一の会議の支度をしろ」
「鬼!!」
思わず出た悪口を慌てて口で押さえても、時すでに遅し。
ドS上司はフフッとこれまた意味深に笑って、そのまま手をヒラヒラさせてオフィスを出て行った。
周りを見ると「ご愁傷様」と憐れみの目で私を見つめている。
ハァ、と息を吐き出したあと、周りにいる課員たちに言った。
「会議室行ってきます……」
お昼休みまで、あと五分。そんなときに、こんな仕事を押しつけなくてもいいじゃないか。
ブチブチと文句を言いながら、私は足取り重く会議室へと向かう。
今から準備をしておかなければ昼一の会議には間に合わない。わかっているが、もっと早めに言ってくれれば、お昼休憩前にセッティングだってできたのだ。
これは絶対に嫌がらせだ。あの日の優しさはどこに消えてしまったのだろうか。
須賀主任の相変わらずのドSぶりにため息をついた。
(あのキスは絶対夢だったんだな。そして幻だったのだ。以上!)
先ほどまで悩んでいた案件は、夢と幻として処理した。
そんな私の耳に、すれ違った女子社員たちの会話が入ってくる。
その内容は「営業部の須賀主任ってカッコいい! 顔がステキ〜!」と絶賛しているものだった。
あんなにドSなのに、相変わらずもてるようだ。