MちゃんとS上司の恋模様




 本当にいつも通りだ。あのキスをした夜から、全然変わりはない。
 ここ最近の私の動揺と、苛立ち。それはすべて須賀主任が原因だ。それは自分でも気が付いていた。

 キスをされたのだ。須賀主任のことを気にかけてしまうのは仕方がないと思う。
 だが、キスをしてきた相手はいつもどおり。それがどうしても腑に落ちなかったし、不公平だとも思った。
 私だけこんなに心を乱しているなんて、割が合わない。
  
 いつもならサラリとかわして黙々と仕事をする私だったが、須賀主任の気持ちがどうしても読めなくてイライラしてしまう。

「どうせ私は出来も悪いし。仕事もできませんからね」

 思わず出てしまった憎まれ口。気がついたときには遅かった。
 須賀主任は作業の手を止め、そのまっすぐすぎる視線を私に向けてきた。

 眉を顰め、須賀主任は私に近づいてくる。一歩一歩私に近づいてくるたびに、胸の鼓動が嫌な音を立てた。

 子供じみていたかもしれない。呆れかえっているだろうか、怒ってしまっただろうか。
 不安で押し潰されそうになりながらも、どこかで意地っ張りな自分がいる。

 いつもと様子が違うと思ったのだろうか。須賀主任は腰を屈めて、私の顔を覗き込んできた。

「何を言い出した、麦倉」
「何でもないです……スミマセン」

 取り繕った謝罪だと気が付かれたのだろう。須賀主任はジッと私の目を見つめてくる。

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