MちゃんとS上司の恋模様




 それに、再び意味深な言葉を残して去るだなんて……どれだけ私の心を翻弄すれば気が済むのだろうか。
あのときの私は、須賀主任が買ってきてくれたベーグルの味もわからないほど、動揺していた。

 ベーグル……そもそも、これも私を戸惑わせる要因の一つだった。

 その前まではドS上司よろしく、いつもどおりの無茶ぶりをされ、ツラツラと恨み節を言っていたのだ。
 やっぱり須賀主任は鬼軍曹だ。そう再確認し、今までのことを夢と幻で片付けようとしていたのに……

 私一人で会議の支度をするのかと思っていたのだが、すぐに須賀主任が駆けつけてきて重たいデスクや椅子など力仕事は私から取り上げてやってしまう。
 その上、ベーグルまで用意してくれていたのだ。

 苛めたり、優しくなったり……アップダウンが激しすぎて私の心が追いついていかない。

 そして、極めつけは指キスだ。
 指にキス。考えただけでも艶めかしい。

 男性と手を繋いだ事なんてほとんどない私が、指にキスをされ、冷静でいられるはずもない。

 須賀主任が今までにも私に意味深な言葉を放ったことはあった。
 最初こそ、「何を冗談を言っているのよ」と蹴散らしていたのだが、ここ最近は冗談では片付けられないほど須賀主任の放った言葉は私の心の中に入ってきてしまう。

 もしかして私のことを……なんて頭の片隅で考えることも何度かあった。

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