MちゃんとS上司の恋模様




 その考えに辿り着いた瞬間、「ダメだ。須賀主任の顔をまともに見ることができない」という答えに落ち着いたのだ。
 もう無理。絶対に無理だ。今、須賀主任と見つめ合ったりしたら……絶対に挙動不審に陥り、恥ずかしくなって目眩を起こして倒れる。間違いない。

 だがしかし、残念ながら須賀主任は私の上司だ。
 この仕事を続けている以上、毎日顔を合わすことになる。

 そんなことわかっているが、とにかく今は冷却時間がほしい。
 一晩でこの乱れまくった心と、絡みまくってしまった現状をどうにかできるとは思えないが、とにかく今は須賀主任の視線から逃げたい。その一心だ。

 改めて意識し始めると、須賀主任の視線に敏感になりすぎているように思う。
 いや、その前に須賀主任……なんだか私のことを凄く見ている気がする。
 よくよく考えれば、だいぶ前から須賀主任の視線には気が付いていた。
 それこそ、須賀主任がこのN支社に来た日からだ。

 少し前までは「鬼軍曹、また私にケチをつける気だな?」と戦々恐々としていたわけだが、改めてよくよく考えれば……その視線の意味は違うものだったのだろうか。

 まぁ、今はいい。考えられない。
 とにかく今は一人になり、冷静になる必要がある。
 これからのことは、その後にでも考えよう。

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