MちゃんとS上司の恋模様
そんなことを言っていても、仕事の量は減ることはないし、待っていてはくれない仕事ばかりだ。
となれば、慣れない後輩たちより以前から営業部に所属し内情がわかっている私が仕事をこなせばなんとか均衡は取れる。
でもそれは同時に、私が抱える仕事の比重が多くのしかかってくるということ。
とにかく仕事をこなすことが最優先だとばかりに、私がかなりの量をこなしていたのは確かだ。
そのことを突かれると、正直何も言えなくなってしまう。
黙りこくる私に須賀主任は続けた。
「この営業一課で事務職をしているのは麦倉を含めて五名。そして一番経験値があるのはお前なのだろう」
「……はい」
「だがな、麦倉。ここは一つ。後輩たちに仕事を振り分けてやらせた方がいい。麦倉がやってくれる、麦倉がいてくれるから大丈夫。そんな雰囲気をなくせ」
「っ!」
言葉を詰まらせる私に、須賀主任はキッパリと言い切る。
「後輩たちを成長させるのも先輩の努めだ」
「……」
須賀主任の言っていることはもっともだと思う。
私は居たたまれなくなって視線を逸らして俯く。
はい、と小さく返事をすると、須賀主任はもう一度資料室を指差した。