MちゃんとS上司の恋模様




 何かを期待しているようで、恥ずかしさが込み上げる。
 集中力を戻すために両頬を手で叩いたあと、私は再びパソコンに向かう。
 必死にやったおかげか。予定より早く書類作成することができた。

 出来上がった書類をプリントアウトし、それを指定されていた場所へとFAXで送ったあと、営業さんに電話をいれた。

 助かった! と喜ぶ声を聞いて、疲れもふっとんだ。
 うーん、と言いながら背筋を伸ばし、今日一日の仕事は終了だ。

 誰もいないことを確認し、フロアの電気を切る。一気に暗くなったオフィスを後にしようとしたのだが、そのままオフィスに押し込められてしまった。

 どうしたのか。誰なのか。真っ暗な部屋では目もまだ慣れていない。
 恐怖に震える私の耳元で、聞きおぼえのある声がした。




< 144 / 182 >

この作品をシェア

pagetop