MちゃんとS上司の恋模様




「いつにしようか。今度はゆっくりできる場所に行こうか。泊まりで温泉なんてどうかな?」
「そ、それはちょっと……」

 ここはあまり刺激せず、とりあえず逃げることを考えた方がいい。
 私は藍沢さんを刺激しないよう、言葉を濁した。だが、相手はへこたれない。

「それなら、まずは今から食事に行こうか」
「えっと、今からだと遅いので。また今度なんてことには」

 なんとか逃げようとするのだが、藍沢は今日を逃してなるものかと必死の様子だ。
 辺り触りない言葉を言っているだけでは、相手には伝わらないのだろうか。
 だが、あまり刺激になるような言葉を浴びさせて逆上されても困る。

 どうやってこの場面を逃げ切ればいいのか。頭の中で色々考えるが、咄嗟には方法は浮かばない。
 近づいてくる藍沢さんから逃げるべく後ずさりをしていたのだが、もう後がなくなった。

 デスクに行く手を阻まれ、どうやっても逃げることができない。
 藍沢さんは私を取り囲むように、デスクに手を突いた。

「真琴ちゃん。大人の恋愛してみる気はあるかい?」

 藍沢さんに肩を掴まれ、顔を近づけてきた。その瞬間、一気に鳥肌が立つ。


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