MちゃんとS上司の恋模様
「なんだよ、真琴。お前は言ってくれないのか?」
「へ?」
「俺に好きだって……言えよ」
「それも命令ですか?」
「命令? 俺は本当の気持ちを話せと言っているだけだ」
ああ、もう。この人は、どれだけ私を苛める気か。そう訴えると、須賀主任は不服そうに眉を顰める。
「苛めているのはお前だ、真琴。俺の気持ちは伝えたはずだ。それなのに、お前は言ってくれない」
「っ!」
ドSで私を弄ったかと思えば、そんな切なく悲しそうな目で私を見ないでほしい。
須賀主任の熱い眼差しに、さすがに折れた。
だが、そこは麦倉真琴だ。素直には到底なれず、なぜかキレ気味で叫んだ。
「好きですよ、悪いですか? すっかり須賀主任に捕らわれてしまいました」
「ハハ。俺はお前をこのオフィスで初めてみたときから捕らえてやると思っていたからな」
「しょ、初対面で、ですか!?」
「そう、初対面。お前の目を見たときに、ピンと来たんだよ。コイツが欲しいって」
一目ぼれだったな、とあっけらかんとして言う須賀主任を口を尖らせて見つめる。
ドSほいほいの異名がある私だからこそ、須賀主任を捕らえてしまったのだろうか。
どちらにしろ、お互いが捕らわれた。そういうことなのだろう。
ふと沈黙が過ぎる。それが合図だった。