MちゃんとS上司の恋模様
「営業ルートの確認や指示にも携わってもらう。要するに俺の補佐的な仕事もこなすようになってもらううつもりだ」
「で、でも! 私、営業に行ったこともないですし。無理です」
この営業一課に配属されてから七年。確かに営業事務の経歴だけは長くなってきた。
しかし、営業事務だ。伝票の打ち込みやある程度の電話応対、来客時の接待などなど。
事務としての仕事のみに携わってきただけだ。
それなのに、営業にも一歩踏み込んでもらうなどと言われても戸惑いしかない。
サッと血の気が引いた私の顔を見て、須賀主任は柔らかくほほ笑んだ。
その笑みがとても優しげで、私は目を丸くする。
今までの彼の印象が一気に変化した瞬間だった。