MちゃんとS上司の恋模様




「誠一……さぁ……ん?」

 素直に言うことを聞く私は、部下の鏡かもしれない。

 しかし、目の前の鬼軍曹は驚いたように目を見開いている。
 自分が名前で呼べと命令してきたくせに、なんだ、この表情は。

「誠一さん?……じゃあありませんでしたっけ?」

 マズイ。名前を間違えたか。これはお仕置き決定かもしれない……
 どうしよう、私の身が危うい。

 一人不安に揺れていると、須賀主任は私をギュッと抱きしめてきた。
 
「それが正解。やべぇ……めちゃくちゃ可愛いな」
「っ!」

 お仕置きが恐ろしくて名前を呼んだというのに、なぜだか言わない場合よりマズイ状況に追い込まれた気がする。

 そして、この夜にわかったこと。それは……

 須賀誠一、三十歳。ドSで鬼軍曹と言われる御仁は、恋人にはベタベタに甘くなるということ。
 私は、それを身をもって体感したのだった。
 

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