MちゃんとS上司の恋模様



「スミマセン、須賀主任。駅まで送っていただけますか?」

 私が須賀主任にお願いするとは思っていなかったのだろう。久美さんの悲痛な叫びが響く。
 顔を歪める久美さんに、須賀主任は時計を指差した。

「おい、多田。こんなやりとりをしている間にも、電車を一本見送ったことになるぞ?」
「分かっているわよ! ああ、もう。分かったわよ。須賀、真琴ちゃんを頼むわよ」

 なんとか折れた久美さんに、須賀主任は「了解」とニヒルに笑った。
 だが、その笑みが気にくわなかったらしく、久美さんは後ろ髪引かれるような素振りを見せながらオフィスを出て行った。
 

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