MちゃんとS上司の恋模様



 久美さんを見送ったあと、須賀主任は私に向き直った。

「さて、帰るぞ」
「……本当に仕事やらなくて大丈夫ですか?」

 片付けられたファイルを遠目で見つめていると、須賀主任は私を見て頷く。

「ああ、大丈夫だ」
「それなら、どうしてこの仕事を持ってきたとき、今日中になんて言ったんですか?」

 特に期限がないものなら、こうして残業をすることはなかったはずだ。
 それなのに、どうして……?

 考えこんでいた私だったが、ハッとしたときには遅かった。
 気がつけば私の視界は、須賀主任の身体に覆われていたのだ。

 須賀主任はカチンと身体が固まった私の耳元に近づき、そして甘く囁いた。

「麦倉と二人きりになりたかったから」
「え!?」
「そう言ったら、お前どうする?」
「ど、ど、どうするって」

 ドキンと大きく胸が高鳴る。
 カッーと身体中が熱くなってきて、須賀主任の広い肩を見つめるだけしかできない。

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