MちゃんとS上司の恋模様



 あのあと、須賀主任を急かして——— いつものドSぶり炸裂で嫌味を言われはしたが——— ファイルを受け取り、二課の藍沢さんに持っていったのだが、そのときにもお礼を言ってくれたのに今日も言ってくれるだなんて……

 ああ、藍沢さん。本当に優しくてステキな男性だ。
 どうせなら藍沢さんが私の直属の上司になってくれたら良かったのに。

 ドS主任に聞かれたら間違いなく苛められそうなことをこっそりと思っていると、藍沢さんは辺りをキョロキョロと見回したあと、私のデスクに小さな箱を置いた。

 驚いて藍沢さんとその箱を交互に見ていると、藍沢さんは腰を屈めて私の耳元で囁いた。

「これ、おみやげ」
「え?」

 目を丸くしていると、藍沢さんはクスクスと楽しげに笑った。

「先日のファイル。麦倉さんがキチンと整理してくれたんだろう? とっても見やすくなっていてビックリしたよ」
「えっと、はい。喜んで貰えて良かったです」

 須賀主任に言われている仕事をしつつだったので時間が足りなかったこともあり、整理しきれていない箇所もあったのだが……

 そう思ってもらえたのならやってよかった。
 ホッと胸を撫で下ろす私に、藍沢さんは先ほどデスクに置いた箱を指差した。

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