MちゃんとS上司の恋模様




 なんだかこのやりとり。恋人同士みたいだな、と思ったら照れてしまったのだ。

「ごめんね、麦倉さん。こちらが誘ったのに遅れちゃって」

 困ったように眉を下げる藍沢さんに、「とんでもない!」と言って顔の前で手を振る。

「いえ、今着いたばかりですよ」
「そう? それなら良かった」
「!」

 爽やかに笑う貴方もステキです! と、至近距離でアイドルに会ったような感覚に陥ってしまう。
 フワフワとした気持ちで彼を見つめていると、ニッコリとほほ笑まれた。

 ああ、それだけでご飯を何杯もおかわりできそうです。

 そんな意味不明なことを考えながら、私は慌てて笑い返したのだった。


< 88 / 182 >

この作品をシェア

pagetop