不器用な彼女
送別会は解散となり「うちに来ないか?」と言われ、社長と一緒のタクシーの中。

「一美先輩…幸せそうでしたね」

「あぁ。でも、旦那さん尻に敷かれっ放しだろうな」

一美の新婚生活やこれから生まれてくる子供を想像して二人笑う。

「お前は?」

「何がですか?」

「いや、その…結婚とか子供とか…考えたりする?」

社長は詩織の方なんか見ずにそんな事を聞いてくる。

「そりゃあ…いつかは結婚だってしてみたいし、子供も欲しいとは思いますけど」

「まだ若いもんな、現実的な話ではないかもな」

社長は相変わらず詩織を見ないまま真っ直ぐ前を向いている。

「社長は…どうなんですか?」

「は?」

「結婚について」

ワインのせいか思ったことが自然と口から溢れる。

「…まぁ、俺は歳も歳だし…あ、運転手さん、ここ左ね」

他人事のような口調に聞こえた。
結婚なんてリアリティー無いけど、結婚相手は自分じゃないように感じた。

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