不器用な彼女

「…で? そちらの女性は?紹介してくださる?」

和服美人が上から下まで舐めるように詩織を見る。

「うちの社員だ。櫻井っての」

「恭介が女の人を連れて来るなんて…妬けちゃうわ。。。アタシ宮崎カツミ(みやざきかつみ)よ、初めまして櫻井…なにチャン?」

「詩織です。櫻井詩織」

「詩織チャン、ゆっくりしていって」

「ありがとうございます」

こんなお洒落な店には慣れておらず、注文も後回しにキョロキョロしてしまう。

「この店、素敵でしょ?自分で言うのもおかしいけど…」

「はい。すごく素敵です」

ウイスキーを作りながらカツミは微笑む。うん、色っぽい。


「ここね、恭介が作ったの」

「カツミ、余計な話はすんな」

「良いじゃない」

また色っぽく微笑むと褐色の液体の入ったグラスを社長の前に差し出した。




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