不器用な彼女
「ま、折角再会したんだし?ヨリを戻す事、ちょっと前向きに考えてみてよ?俺、かなりお得物件だと思うよ?優しいし、見た目も悪くないと思うし、ちょっと背は低いけど!」

自分を売り込む発言に笑ってしまう。『高い靴は履くんじゃねーよ!俺が小さく見えるだろ?!』なんて言ったのはこの男だ。

でも、強引かと思いきや、佐原は意外と紳士らしい。

「友達からお願いします」

「うわっ、傷付く〜!」

なんて話しながら、ワイングラスを片手に今日初めての乾杯をした。


大学時代の話、サークルで軽井沢に行ったこと、付き合った期間は短いのに意外と昔話に花が咲く。
佐原は明るくて人気者でいつも皆の中心にいた。何故そんな人が私なんかと付き合ってるんだろうなんて疑問に思ってた。

「仕事、楽しい?」

「楽しいよ。大変な時もあるけどね」

「あの社長の下で3年も勤めるなんて大したもんだ。有名だよ、“仕事バカ”って。平気で変更押し付けてくるし、気に入らなきゃ当たり前にやり直しさせるし!でも工期は守れよ?って鬼なんだよ、社長は!」

「私にも同じだよ〜」

「お互い苦労するな」

その後も社長の悪口(?)で盛り上がった。



佐原とのお酒の席は意外と楽しく、無理やり連れて来られたけど良かったかな〜なんて考える。

社長の態度には腹が立ったけど、あれは社長のヤキモチで、きっと自分から佐原の事を言わなかったからヘソを曲げたんだな〜と自分の非を反省する。

後で電話しよう。そして、仲直りしよう。

そんな事を考えていた。







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