不器用な彼女
ラーメンを食べ終え店を出る。

「気をつけて帰れよ」と解散を提案するも“坂上さん”の攻撃が始まった。

「まだ帰りたくないです」

「あ?俺は帰りたい」

「車で送って下さい」

「まだ19時だし、電車の方が早い」

詩織と佐原の行方が気になって“坂上さん”とのやりとりが面倒に感じる。

「詩織と付き合ってる」と言えば諦めてくれるかも?と思った事もあるが、こういうタイプは面倒臭くてきっと詩織が後から嫌な想いをすると思うと言い出せずにいる。
自分には現場もあっていつでも“坂上さん”の行動を見張っていられる訳ではないし、きっと何かあっても詩織は愚痴るタイプではないから。


“坂上さん”がいきなり腕に巻きついてくる。
わざと胸を押し当てて、キメ顔なのかウルウルした上目遣い。そして好みじゃない香りが鼻につく。

これが詩織だったら大歓迎なのに。

ドキドキなんて微塵もなく、どちらかと言えばイライラ?


「小娘は帰ってクソして寝ろ」

つい、本音が口から漏れた。

< 157 / 203 >

この作品をシェア

pagetop