不器用な彼女
22時。まだ帰っていないのか、詩織のアパートは暗いままだ。残念ながら合鍵なんて物も持ってない。

いつものコインパーキングは満車で仕方なくアパートから少しだけ離れた公園の脇に車を停める。ここには車一台が泊まれる幅の駐輪場がある。夜だから自転車はなく少し停めるには問題なさそうだった。

いつ帰るか分からない彼女を待つとか、そんなのは初めての経験だ。
常に仕事に夢中で、自分が優先!と過去の彼女に不満タラタラ言われて振られてきた。去る者追わずのスタンスでそれは永遠に変わらないと思っていたのに。
こんなの自分らしくない!と思いながらも、実はドップリ詩織にハマってると思い知った。

何分か待っては歩いてアパートの灯りを確認に行くという事を繰り返す。


(まだ帰ってねーの?)

腕時計の針は23時を過ぎたところだ。
まだ飲んでいるんだろうか?まだ佐原と一緒なんだろうか?

元々気は長い方ではない。

電話をしようとするも、携帯は公園に停めた車の中だ。

一旦車に戻ろうと角を曲がったところで詩織の姿を見つけた。

本当は直ぐに抱きしめて謝りたかった。
でも、詩織の隣に佐原の姿がある。しかも楽しそうに話をしているように見える。

まさか佐原を泊める訳じゃねーだろな?




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