不器用な彼女

立場と仕事とドキドキ

“間違いは起こっていない”

社長の口から聞いて安心して数日。

(全然大丈夫じゃないし…)


いつも通りに戻ったはず。
それなのに詩織のドキドキは落ち着かない。


昼休み。
社長は現場で事務所を留守にしている。コンビニパスタをモグモグしながら一美がにやけている。

「ねぇ、詩織チャン!…社長と何かあった?」

ドッキーン!

これが女の第六感?
一美が突然そんな事を言う。

「何かって…特には…」

悟られてはならないと平静を装う。


「社長がどうかしたんですか?」

うん。私は女優。


「なーんか、二人の間に妙な空気感ってやつ?」

この女恐ろしい。
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