不器用な彼女
「妙な?」

「社長、優しいと言うか…遠慮してる?みたいな?」

「わ、私に対して…ですか?」

「うん!」

ミスをすれば注意を受ける。それはあの夜の前と後では変わっていないように思う。。。

「一美先輩、それは私のミスが少なくなったから怒鳴られる回数が減っただけの話なんじゃないですか?」

「そっか?」

一美は信用できる姉御みたいな存在ではあるが、3人きりの小さな会社で波風は立てたくなくて、勿論あの夜の話は内緒にしている。


「てか、詩織チャン、社長の事好きでしょ?」

また突拍子のない事を言う。
詩織は思わず米粒を吹き出した。

「ゴホッ!ゴホッ!」

「あ、動揺してる?」

ニヤニヤと笑う一美が憎たらしい。

「好きか嫌いで言ったら好きですけど…尊敬の気持ち?みたいな?」
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