二番目でいいなんて、本当は嘘。
あのときの感情と、今の気持ちは、似ているようでまったく違う。

淋しい。
誰かにそばにいてほしい。
それは変わらない、偽らざる私の本心だ。

けれど、あの夜の自分と違うのは、欲しいものはただ一人、桐生社長だということだ。


欲望をむき出しにして体を重ねてくる桐生社長の前髪を、指先でそっと払う。
彼の体が一層の熱をはらんだ。そして次の瞬間、乱暴に唇を重ねられた。

桐生社長は弱い私が愛しいと言った。
私も同じだ。
会社のときとは違って余裕のない、目の前のこの人がとても愛しい。


もう、嘘はつけない。

――私は、この人に恋をしている。
< 143 / 250 >

この作品をシェア

pagetop