二番目でいいなんて、本当は嘘。
「でも、いいんですか?」
「あちらの言い値ですから。当方の仲介手数料は別途計上してあるのでご安心を」

祖父の思い出の品を処分するのはしのびないが、これから物入りになるだろうからとてもありがたい。


私は不動産屋の男性に尋ねた。

「新しいオーナーさんは、どんな方なんですか?」
「60前の老夫婦ですよ。ご自宅用というより、投資用とかなんとか言ってましたね」
「投資用ですか」

こんな条件で家を買いたいという人がいるなんて、よほどの奇特な人なのだろうと思っていた。

でも、なにがビジネスにつながるかわからない。
そのことは、島本すずとの付き合いでよくわかっている。


私は契約書にサインをし、数日のうちに必要な荷物を片付けに行くと約束をした。
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