二番目でいいなんて、本当は嘘。
リビングに向かうと、薫さんは窓際に立ち、外を向いて誰かと電話で話しているところだった。

「……ええ。早産の可能性もあるので、このまま出産まで面倒を見ようと思って。母子手帳や保険証などは持ってきているようなので、身の回りの荷物をこちらに送ってもらえないでしょうか。……はい、僕のマンション宛で」

仕事の途中で、そのままここへ私を連れてきたのだろう。
スーツを着てはいるが、髪の毛は少し乱れている。
それに、前よりもなんだか痩せた。

「本人が起きてきたので、代わりますね」

薫さんは私の姿に気が付くと、ちょいちょいと手招きをした。
そして「清香さんです」と言って私に電話を差しだした。

驚きつつも、私はそれを受け取る。
おずおずと薫さんの顔を見上げると、彼は微笑んでうなずいた。
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