二番目でいいなんて、本当は嘘。
「もう会社は出てしまいましたか?」

会社を出たといえば出たということになるが、まだ建物の中にはいる。

「オフィスは出ました。今、エントランスです」
「そうですか。では大至急、地下駐車場にある警備員室に来てください」

社長はそう言って通話を切った。


「え……? どういうこと?」

なにか用事を頼もうと言うのだろうか。

これから電車に乗って、家まで約1時間かかる。
餌の件は大丈夫だが、通勤には乗り換えが少々面倒な距離だった。

シズクを怒らせたら大変だ、と言ったのは桐生社長なのに。


とはいえ、社長命令には逆らえない。
私はもう一度エレベータに乗り、地下2階のボタンを押した。
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