私の好みはクズなんだってば。
休日、なにしてる? by 寒川

笠原凛と里崎晃の場合

朝起きると、LINEの通知が入っていた。
1件は実咲。「昨日先帰ったけど大丈夫だった?私は寒川くんと話せて超サイコーだったわ♡」と、大して心配もしてなさそうな浮かれたLINEにちょっと呆れる。
寒川くんからは「昨日は家まで送らなくてごめん。あの後里崎とは会えた?」とシンプルな文が。わざわざ実咲に連絡先を聞いてくれたんだろうか。苦手な王子様タイプだが結構いい人だ。

昨日のことは、正直あまり覚えていない。覚えているのは、からかわれて拗ねて1人でお酒を飲んで潰れたことと、里崎に抱きしめられたことだけだ。思い出しても困惑しかない。あいつはそんなことをするやつだっただろうか。

髪をくしゃくしゃと掻き乱しながら悩んでいると、スマホが震える。またLINEだ。

開くと里崎からで、動揺してスマホを落とす。なんというタイミング、待て画面は割れてないか、と急いでスマホを拾い上げる。

「昨日はすまんかった、仲直りしよう」
謝罪とともに送られてきた写真には、行こうと思っていた剣道の試合のポスターと、会場の最寄り駅までの切符が2枚映っている。

悩んでいたことなどスッキリさっぱり頭から消えてしまった私は「サイコー!行く!!!駅で待ってて!」と返信し急いでシャワーを浴びにお風呂へ向かった。
< 12 / 17 >

この作品をシェア

pagetop