Deal×Love After
「椿ちゃんは生きてるでしょ!夫ならしっかりしなさい!」

母さんは俺に怒鳴った。
瞳に涙を溜めて。


「私、昔、階段から落ちて意識を失って病院に運ばれたことがあったの」

両親からそんな話、聞いた事なくて俺は驚いた。


「その時ずっとお父さんが私を呼んでる声は聞こえてた。だから海も椿ちゃんが不安にならないように名前を呼んであげて?」


だから母さんは椿にずっと話し掛けてたのか。

誰の呼び掛けにも反応しなくて、俺は怖くて、名前すら呼べなかった。


母さんは俺に気を利かせてか、すぐに帰って行った。
椿と二人きりになった病室。

俺は久しぶりに椿の手を握ろうと、手を伸ばす。
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