夏が残したテラス……
「俺の事よりオヤジさん、リゾートホテルの方は大丈夫なんですか?」

 俺は、おやじさんの表情を伺った。


「まあ、どうなるのかは分からんが、今年の夏に影響はそれほど無さそうだし、奏海と二人でこの店をやってくのには、何の問題もない。
 奏海だっていつかは、ここを出て嫁にいくだろうし…… 俺は、梨夏との思いでのこの店を守るだけだ…… お前が気にする事じゃない」

 まあ、多少は予想していた答えだったが、俺が心配する事じゃないと言われた事に、内心ぐさりと何かにと刺された感覚だった。

 店だけじゃない、奏海の事も、心配するなと言われた気がしたからだ。

 俺には、このまま納得する事など、とても出来ない。

 俺は、まだ、おやじさんに認めてもらえてないと言う事なのだ……


「リゾートホテルの件、俺に任せてもらえませんか?」


 俺は、この時、すべての覚悟を決めた。

「この店は、俺にとっても大切な店です。梨夏さんにも助けてもらったし、奏海だってこの店が大切なはずです。だから、俺は奏海の為に、この店を守りたい」

 俺の、この言葉は、おやじさんに、どう受け止めてもらえたかは分からない。
 俺が奏海を守るという意味だ。
 前に、おやじさんと話した、この店を背負う権利を取るために俺は必死だった。


「分かった。だが無理はするな……」

 おやじさんのこの言葉に、『絶対にやる』と心に誓った。

 この時、俺は、この会話を奏海が聞いていた事に気付かなかった。
 奏海を、不安にさせ始めた事にも……
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