夏が残したテラス……
どうすればダイブショップの痛手を回避できるのか? 
あのリゾートホテルを立て直す事が出来るのか?
 俺の頭のなかはその事ばかりを考えていた。

 考えてばかりいても仕方がない。とにかく行動に移さなければと、俺が向かったには大阪の本社だった。

 本社の受付の前に立つ。

「おはようございます」

 受付嬢の上品な声に我に返る。

 ふと、受付の女性の名札に目をやり、眞鍋と言う名に、ふっと笑みが漏れた。

 兄貴のねぇ…… 

 黒髪を結い上げた、ほんわりとした美人だ。


 そして、受付の後ろに、表示されている部門の一覧に目を向ける。

 リゾート開発部。
 確か、国内に一店舗、海外に二店舗のホテルを運営している。かろうじて赤字ではないが、けして注目を浴びている部門ではない。

 そうだ! 
 これだ!


 俺は、急いでエレベーターに乗り込み、社長室のある二十五階のボタンを押した。

 フロアに足を踏み入れると、重役の部屋と会議室しかないこの階は、重々しい空気が静かに流れている。

 俺は、そのままの勢いで、社長室の前にたどり着いた。


「お約束はされてますでしょうか?」

 社長室の前に座る、受付の女性の声に足が止まった。

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