幼なじみの甘い牙に差し押さえられました
「もうずっと離さないから。」
私はもうすっかり動けなくなっているのに、腕を絡めて閉じ込められる。
「今度こそ、どこにも行くなよ」
「今後こそ?…って、そっか。そうだよね。えへへ、前科二犯」
「三度目があるような言い方するなよ…。でも俺も、環に振り回されるのは慣れてるけど」
「!?」
「そのくせ自覚無いんだよな…」
「凄く文句言われてる気がする…!」
「そうでもないよ。環に振り回されるのが好きなんだ。これからもずっと、俺のこと困らせて」
涼介は笑って肩にキスをしてくれる。涼介の髪が首や鎖骨を擽るから、こっそりシーツを摘まんでやり過ごす。
「…私そんなに困らせてた?」
「良いんだよ、知らなくて。環に知られたらカッコ悪いことばっかだから」
何だろうと不思議に思ったけど、おでこにキスをされて髪を撫でられると、むくむくと幸せな睡魔に取り囲まれていく。すぐに眠ってしまったから、涼介の声で「お帰り、環」と聞こえたのは、もしかしたら夢だったのかもしれない。
Fin.


