幼なじみの甘い牙に差し押さえられました
その後涼介は悪酔いしていたのが嘘のようにすっきりした顔で飲み会に戻ってきて、恋愛方面の話題になるとみんなに弄られていた。
「涼介、彼女と別れてそこそこ経つだろ。まーだ女っ気のない生活してんの?」
「うるさい、ほっとけ」
「合コンセッティングしても来ないしよー。お前目当てで合コンやりたいって言う女、けっこういるんだぞ。
あ、環くんも今度来る?合コン」
私にまで話が飛び火してきたので「遠慮します」と首を振る。
「俺は女性の下着が恋人なんで、そういうのは別にいいですよ」と言うと「まじで変態!」と笑われた。
「せっかく美少年系のイケメンなのに、それじゃ完全に宝の持ち腐れだな」
「でも俺は、恋をした相手に失望したり、愛されてないのに依存して抜け出せなくなったりするのは嫌ですから」
「え?」
山下さんが目を点にしている。どうしてこんな分かりきった事が伝わらないんだろう。
「好きになった相手に殴られたり、酒瓶を投げられたり、お金を騙し取られたりしたくないんです。
恋愛なんかしたら余計な傷が増えるでしょう?」
だからみんな友達でいいじゃないですかと微笑んだら、さっきまで笑っていた山下さんが曖昧な作り笑顔で固まっていた。気がつけば飲み会の空気がしんと静まり返っている。
あ……この感じ……。
もしかして私はまた同じ失敗をしてしまった?
子供の頃、どれだけ普通に振る舞っていても、私は「マトモな家の子」と同じにはなれなかった。おかしな事を言っては余計な心配や同情を集めて、いつもその瞬間は恥ずかしくて消えてしまいたい気持ちになった。
「あの……っ」
肌を刺すようなみんなの視線に耐えながら、その場を取りなす言葉を探していると、「ばーか」とおでこをコツンと叩かれる。涼介の手だ。
「コイツ、昨日ドロドロの映画見たせいでずっと恋愛なんか怖いって言ってて。環は映画にハマり過ぎなんだよ、話が混ざってるぞ?」
「なんだ、映画の話かよー。びっくりさせんな」
涼介が全く身に覚えの無い話にすりかえると、凍りついた場の空気が溶けてく。
涼介、嘘ついて助けてくれたの……?
「涼介、彼女と別れてそこそこ経つだろ。まーだ女っ気のない生活してんの?」
「うるさい、ほっとけ」
「合コンセッティングしても来ないしよー。お前目当てで合コンやりたいって言う女、けっこういるんだぞ。
あ、環くんも今度来る?合コン」
私にまで話が飛び火してきたので「遠慮します」と首を振る。
「俺は女性の下着が恋人なんで、そういうのは別にいいですよ」と言うと「まじで変態!」と笑われた。
「せっかく美少年系のイケメンなのに、それじゃ完全に宝の持ち腐れだな」
「でも俺は、恋をした相手に失望したり、愛されてないのに依存して抜け出せなくなったりするのは嫌ですから」
「え?」
山下さんが目を点にしている。どうしてこんな分かりきった事が伝わらないんだろう。
「好きになった相手に殴られたり、酒瓶を投げられたり、お金を騙し取られたりしたくないんです。
恋愛なんかしたら余計な傷が増えるでしょう?」
だからみんな友達でいいじゃないですかと微笑んだら、さっきまで笑っていた山下さんが曖昧な作り笑顔で固まっていた。気がつけば飲み会の空気がしんと静まり返っている。
あ……この感じ……。
もしかして私はまた同じ失敗をしてしまった?
子供の頃、どれだけ普通に振る舞っていても、私は「マトモな家の子」と同じにはなれなかった。おかしな事を言っては余計な心配や同情を集めて、いつもその瞬間は恥ずかしくて消えてしまいたい気持ちになった。
「あの……っ」
肌を刺すようなみんなの視線に耐えながら、その場を取りなす言葉を探していると、「ばーか」とおでこをコツンと叩かれる。涼介の手だ。
「コイツ、昨日ドロドロの映画見たせいでずっと恋愛なんか怖いって言ってて。環は映画にハマり過ぎなんだよ、話が混ざってるぞ?」
「なんだ、映画の話かよー。びっくりさせんな」
涼介が全く身に覚えの無い話にすりかえると、凍りついた場の空気が溶けてく。
涼介、嘘ついて助けてくれたの……?