幼なじみの甘い牙に差し押さえられました
涼介が携帯で『アンルージュ』の公式サイトを見せてくれた。すると、お洒落で可愛いデザインのサイトが画面に現れる。


「スゴい…どうしてこんなにすぐできるの?」


「系列のIT会社に最速で発注したから。あとは小夜子と相談しながらデザインの微調整するくらいだな」


サイトの一部にオンラインショップがあり、ブラとパンツ以外のアイテムはネットで買えるようになっていた。


「そんなことより、俺はさっきのエロい下着がどーなってるのかが気になるけどなー」


山下さんが脚を至近距離でじーっと見てくるので、何となくスカートの裾を押さえる。


「それは製品カタログの写真で見てくださいよ」


「いいじゃん、男のくせに勿体つけんな」


「もう……。特別変わったことはしてませんよ?

セパレートタイプの場合、ストッキングが靴下みたいに左右に分かれてるんです。

落ちないようにする方法はいくつかあるんですけど、スタンダードなのはガーターベルト。普通のベルトと同じように腰につけるんですけど、そのベルトにストッキングを吊り下げる『ボストン』っていう留め具がついてるんです。」


スカートを太股のまん中くらいまで捲って留め具の部分を見せる。


「ほら、こんな感じです。パンクファッションの女の子が、ミニスカートからわざとこの留め具を見せてたりするでしょ?」


「おぉ想像以上にイイ眺めだ……」


山下さんが脚に手をのばそうとしたときに、涼介にスカートを捲る手を払われる。


「環、もう十分だから早く着替えろ。脚なんか見せるな」


「……わかったよ」


小早川さんの脚は「女らしい」と喜んでも、私に関しては「脚なんか見せるな」なんだ。


まあ、私に女らしいものが似合わないことなんて、涼介に指摘されなくても分かっているんだけど。


『スカート探してるの?あれはママが捨ててきたわ。あなたがはいても可愛くないでしょう』

『環には長い髪は似合わないから切っちゃおうね』


何故かママの言葉まで思い出して、見えないボディーブローでも受けたような鈍痛がする。
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