幼なじみの甘い牙に差し押さえられました
「おかえりー」


「ただいま。掃除してくれてたのか、ありがとう」


「えっ、適当にやってるだけだよ」


ノートを勝手に見ちゃった後ろめたさで声が上擦ったけど、涼介は気にしてないみたいだ。ほっと胸を撫で下ろす。


「そういえば、中学の同窓会あるけど行く?」


「へ?そんなのあったの?私には何も連絡来てないけど?」


「環は急に転校したから誰も連絡取りようがないだろ。行こうぜ、環が来たら女子とか泣いて喜ぶぞ。」


涼介が微笑んで形の良い唇の口角がぐっと上がり、普段はシャープな印象の顔が甘くなる。……私は最近、涼介の笑顔に凄く弱い。

思わず「うん」と返事すると涼介は目を細めて、ますます柔らかな表情になった。


「会場はホテルのバンケットだから、可愛い服着てけよ」


「そんなの無いよ?まさか魔女の服着るわけにもいかないし」


「あれはエロいから他の奴に見せるのは禁止」


ぽん、と頭に手を置かれる。


「せっかくだから週末に一緒に買いに行かない?」
< 44 / 146 >

この作品をシェア

pagetop