幼なじみの甘い牙に差し押さえられました
…
「これ、タバコか…。酷い…
痛かったろうな。あの時も『火傷のおかげでママが優しくしてくれるからラッキー』って」
いかにも能天気な子供の私らしい言葉。すっかり忘れていたけど、あの頃の私は…手を伸ばせばすぐにママの愛情を感じられた頃は、火傷の痕なんか恥ずかしいと思ってなかったのだ。
「……そっか、そっか。知ってたならそれで良いんだー」
「良くないだろ、何かまだ隠してる。
子供の頃には平気だった傷跡を今になって気にしてるのは……何か理由があるんじゃないか?」
思わず目を反らして首を降る。
話したくない。話せば、これ以上惨めな存在になるから。
「……そういえばあの日、顔を殴られてるくせに背中を庇ってなかったか?確かにこの位置だった。」
「あの日っていつ?涼介の気のせいじゃない?」
「気のせいじゃない。あれが環に会えた最後の日だったから、全部覚えてるよ。」
涼介はまっすぐで優しくて、だから誤魔化しても無駄だった。言葉の逃げ道を失ってむーっと膨れっ面すると、涼介が困ったように笑う。
「言いたくないことまで聞いて悪い。
…ガキの頃は環を傷付けるのが怖くて何も聞けなくて、それで結局俺は、環が辛いのを見過ごしてきた。そういうのはもう嫌なんだ」
「でも……引かない?」
「引かない。」
「可哀想って思わない?」
「思わない。誓うよ」
じっと見つめられて、でもどういう顔で話したらいいかわからないから、そっぽを向いて涼介に話し始める。
ママと私の二人暮らしの生活は、ママの恋人さえいなければ、それなりに平穏で幸せだったと思う。
ママの恋人は時々入れ替わっていたけど、私にとってはどの人も同じ。結局はママを傷付ける嫌な奴だ。
ママが殴られるのを見るのが私にとって一番怖いことで、男の人に殴られるママを見ると、理屈抜きで足がすくんだ。
中学になってからは体力も体格もあったからママを庇うのも平気になって、その結果私が殴られた時にはママが彼氏と別れてくれた。
泣くほど嬉しかった。彼より私を大事にしてくれると、思える瞬間だったから。
「これ、タバコか…。酷い…
痛かったろうな。あの時も『火傷のおかげでママが優しくしてくれるからラッキー』って」
いかにも能天気な子供の私らしい言葉。すっかり忘れていたけど、あの頃の私は…手を伸ばせばすぐにママの愛情を感じられた頃は、火傷の痕なんか恥ずかしいと思ってなかったのだ。
「……そっか、そっか。知ってたならそれで良いんだー」
「良くないだろ、何かまだ隠してる。
子供の頃には平気だった傷跡を今になって気にしてるのは……何か理由があるんじゃないか?」
思わず目を反らして首を降る。
話したくない。話せば、これ以上惨めな存在になるから。
「……そういえばあの日、顔を殴られてるくせに背中を庇ってなかったか?確かにこの位置だった。」
「あの日っていつ?涼介の気のせいじゃない?」
「気のせいじゃない。あれが環に会えた最後の日だったから、全部覚えてるよ。」
涼介はまっすぐで優しくて、だから誤魔化しても無駄だった。言葉の逃げ道を失ってむーっと膨れっ面すると、涼介が困ったように笑う。
「言いたくないことまで聞いて悪い。
…ガキの頃は環を傷付けるのが怖くて何も聞けなくて、それで結局俺は、環が辛いのを見過ごしてきた。そういうのはもう嫌なんだ」
「でも……引かない?」
「引かない。」
「可哀想って思わない?」
「思わない。誓うよ」
じっと見つめられて、でもどういう顔で話したらいいかわからないから、そっぽを向いて涼介に話し始める。
ママと私の二人暮らしの生活は、ママの恋人さえいなければ、それなりに平穏で幸せだったと思う。
ママの恋人は時々入れ替わっていたけど、私にとってはどの人も同じ。結局はママを傷付ける嫌な奴だ。
ママが殴られるのを見るのが私にとって一番怖いことで、男の人に殴られるママを見ると、理屈抜きで足がすくんだ。
中学になってからは体力も体格もあったからママを庇うのも平気になって、その結果私が殴られた時にはママが彼氏と別れてくれた。
泣くほど嬉しかった。彼より私を大事にしてくれると、思える瞬間だったから。