幼なじみの甘い牙に差し押さえられました


ブラとショーツで十分なのに、ついついガーターにストッキング、キャミソールまで身につけてしまった。嬉しくてクローゼット前の姿見に全身を映してみる。



太腿までのストッキングとガーターベルトの細い紐で体を直線的に区切られると、私のような体格でも少しだけコケティッシュな雰囲気に見えた。火傷の痕もキャミソールで隠れてる。ついでにゴツゴツした腹筋も。

今なら男と間違えられることも無いのかな……?


「あ、首のとこ」


ほんのり赤いのは涼介が残した痕だ。指で触れると、痕をつけられた時の事を思い出して一人で照れる。


「もうすぐ消えちゃいそう」


消える前に目に焼き付けておこう。そう思ってじっと鏡に見入っていたら、唐突に部屋のドアが開いた。


「りょ……」


涼介が呆気にとられている。改めて自分の中の格好を見直して小さな悲鳴を上げた。


「うわぁ、ごめっ!

きょ、今日は意外と早く帰ってきたんだっ、遅いと思ってうっかり」


あたふたしてると、カチッと音がして部屋が真っ暗になった。


暗くて何も見えないまま背中に柔らかな服の感触がした。手首を掴まれて袖を通される。ひとまわり大きな服なので涼介が部屋で着てるパーカーかもしれない。



「まったく、昨日といい今日といい環は俺を試してるのか?」


「試すって何を!?」


「……それとも、わざと?
俺、環に誘惑されたらひとたまりもないんだけど?」


わざと誘惑ってセクシーな格好で悩殺する的な…


「な!無い無い!
やろうと思ってもできないし!私はほら、胸とかぺったんこな上に筋肉質だから」


「それ本気で言ってる?」


もう一度カチッと音がして部屋が明るくなった。
< 59 / 146 >

この作品をシェア

pagetop