幼なじみの甘い牙に差し押さえられました
ホテルのラウンジにママがいた。華奢な体に合う淡い花柄のブラウスとタイトスカートを着て、綺麗にセットされた髪型。
私が隣に並んでも、親子と分かる人はいないと思う。親子ほどの年齢差には見えないし、女性らしいママと私では全然似てない。
側に行って話したい…けど…
ワンピースの裾を掴んで思い留まった。ママが彼氏と一緒にいるときは男の姿でいる約束だ。
遠くから様子を眺めていると、ママが鞄から取り出した封筒を男の人がさっと取る。中身を開けて一万円札5枚を数える様子に、ひどく胸がもやもやした。
どうしてお金を渡してるんだろう。
不快感に耐えながら男の人に視線を走らせると、忘れたくても忘れられない昔の記憶がチカチカと視界を赤く染め上げた。
あいつ…!!
「ねえっ、まだママのこと脅してるの!?」
無意識のうちにテーブルまでダッシュして、封筒を持つ男の手首を掴んでいた。
「環…!?」
「誰だ…?」
表情を強張らせたママとは対照的に、その男は面白がるように私を上から下まで眺めてる。
「お前マドカの娘か…?
サルみてーだったのに、変わるもんだな」
「いいから、ママのお金を取らないで。
ママにもう関わらないで。ママを殴って苦しめたような奴が今更ママに会う資格なんか無い!」
その男は何が楽しいのかケタケタ笑った。手首を捻ろうとしたけど微動だにせず、膝が震えるのを堪えて男を睨み付ける。
「なあマドカ。悲劇のヒロイン気取るクセはいくつになっても直らないんだな。娘にどう説明してんだよ」
「違うわ…この子が勝手に…!」
ママを背後に庇うように遮る。「大丈夫だから」と振り向くと、思ってもみない表情で私を見上げていた。
私が隣に並んでも、親子と分かる人はいないと思う。親子ほどの年齢差には見えないし、女性らしいママと私では全然似てない。
側に行って話したい…けど…
ワンピースの裾を掴んで思い留まった。ママが彼氏と一緒にいるときは男の姿でいる約束だ。
遠くから様子を眺めていると、ママが鞄から取り出した封筒を男の人がさっと取る。中身を開けて一万円札5枚を数える様子に、ひどく胸がもやもやした。
どうしてお金を渡してるんだろう。
不快感に耐えながら男の人に視線を走らせると、忘れたくても忘れられない昔の記憶がチカチカと視界を赤く染め上げた。
あいつ…!!
「ねえっ、まだママのこと脅してるの!?」
無意識のうちにテーブルまでダッシュして、封筒を持つ男の手首を掴んでいた。
「環…!?」
「誰だ…?」
表情を強張らせたママとは対照的に、その男は面白がるように私を上から下まで眺めてる。
「お前マドカの娘か…?
サルみてーだったのに、変わるもんだな」
「いいから、ママのお金を取らないで。
ママにもう関わらないで。ママを殴って苦しめたような奴が今更ママに会う資格なんか無い!」
その男は何が楽しいのかケタケタ笑った。手首を捻ろうとしたけど微動だにせず、膝が震えるのを堪えて男を睨み付ける。
「なあマドカ。悲劇のヒロイン気取るクセはいくつになっても直らないんだな。娘にどう説明してんだよ」
「違うわ…この子が勝手に…!」
ママを背後に庇うように遮る。「大丈夫だから」と振り向くと、思ってもみない表情で私を見上げていた。