Sign of Love
■2

 本社向かいにあるコーヒーチェーン店は、遅めランチの定番だ。エアコンで冷えすぎないように、日差しの当たる席を陣取って、まずはアイスラテで一息つく。注文したホットサンドを待つ間に、Eメールに目を通した。

 また、結婚式の誘いがきている。入社から三年目。就職した会社でいい人と出会って、交際をして、結婚するにはちょうどいい頃合いなのかもしれない。

メールを一旦閉じて、アドレス帳を開く。共通の友人の名前を探してスクロールしていた指が止まった。

『坂巻さん』
 半年前までアドレス帳に『インサイト・アーキテクツ』という社名も一緒に登録していた。わたしは本社に転籍してくる前の坂巻さんのことを知っている。

「おまたせいたしました」

 女性店員の声にはっとする。わたしは何故か、スマートフォンをテーブルに伏せていた。見られたとしたって、この人に何が分かるわけでもないのに。
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