Sign of Love
連絡も一通り終わり、上との話もついた。しばらくしてオンライン上にシステム停止の通達が流れた。これでこちらの準備は整った。
「いや、すごいよ佐倉さん。ほんとよくこの時間に連絡くれたよなあ、インサイトさん。無理は言ってみるもんなんだな。段取りもいいし、これなら本当にどうにかなりそうだ」
坂巻さんによって着々と進められていく準備に、課長はさっきから興奮気味だ。坂巻さんいわく、一番早くデータを引っ張り出すにはシステムダウンがいいらしい。一時的とはいえ、全社システムを落とすのに、本社側にどんな説得をしてくれたのか。
あと三十分でシステムダウンする。それまでに、ここに坂巻さんが来てくれる。停止時間を最小限にするためだ。
事務所の電話が鳴った。
「佐倉さん、インサイトさん近くに着いたみたいだから、下まで迎えに行ってくれる?」
「はい」
電話とはいえあんな失態の後だ。どんな顔して会おう。事務所を出て、雨粒だらけの窓ガラスを姿見代わりに髪を整える。エレベーターで一階まで下った。