Sign of Love
 電車内に駆け込み乗車の注意を促すアナウンスが流れる。乗客からの白い目は、電車が走り出すまでだった。すぐにそれぞれが、スマートフォンに目を落とした。坂巻さんが人の隙間を縫って、わたしの側まで来てくれた。

「大丈夫? どうしたの」
「坂巻さん、わたし考えたんですけど」

「うん?」

「わたし、ちょうど阿佐ヶ谷と高円寺の間くらいの場所に住んでるんです。……だから、今日は高円寺で降ります。それで、坂巻さんを家に送り届けてから、傘を借りればいいかと思って」

 坂巻さんは唖然とわたしを見つめていたけれど、ふいに声を立てて笑った。何がなんだか分からなくて、今度はわたしが戸惑ってしまった。

「笑ったりしてごめん。女の子が言うには大胆な意見だけど、なんだか佐倉さんらしいと思って」

 『大胆』と言われた意味がぱっと思い浮かばなくて、頭の中でよくよく自分の言葉を振り返る。
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